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「未完の行為」、心理学の用語。達しえていない心残り。

人生やり残しリスト。
人生が終わるまでにやっておきたいリストを
あげていくというブログです。

ということは、それをやり遂げ、人生の最後に後悔しないことを
目的にしていること。

一方で、やりとげないでおく方が、長くそのことが記憶に残るし、
やり遂げないでおくほうが生きる張りになる
という気もしています。

「未完の行為」という心理学の用語があります。
ゲシュタルト療法の中で使われる概念だそう。

「未完の行為」とは、したくてもできなかった、
もしくは、してほしくてもしてもらえなかった過去の心残りのこと。

その存在が、その人の行為を束縛し、今の悩みとなっている。

それを解決するため、自分の内面に入り、過去に戻り、
完結しなかった心残り、未完の行為を、完結させて清算。
過去にとらわれた自分を解放するというものです。

ここでは未完の行為はマイナス、否定的に扱われていますが、
一方で、未完にしたままの方が、ずっとそのことが心に残り、
記憶にとどめられるのではないかと思っています。
自分は、逆に肯定的に「未完の行為」を捉えたいのです。

有名な義経と弁慶の話があります。
弁慶は、比叡山を降りた後、京都の町で刀狩を始めます。
999本を集めた後、1000本目に、五条大橋で、
後の義経、牛若丸と出会うのです。
そして、牛若丸に降参し、家来となるのでした。

1000本集めるという行為は、未完に終わったわけですが、
そこで運命的な出逢いを果たす。
これも未完の効用といえるのでは…。

完全にせず、わざと未完のままにしておく。
そこに趣きを感じる。
これも日本的な考えかもしれません。

吉田兼好の「徒然草」第八十ニ段。

「すべて、何も皆、ことのとゝのほりたるは、あしきことなり。
し残したるを、さて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶるわざなり。
内裏造らるるにも、必ず、作りは果てぬ所を残すなり」。

http://www.tsurezuregusa.com/index.php?title=%E5%BE%92%E7%84%B6%E8%8D%89%E3%80%80%E7%AC%AC%E5%85%AB%E5%8D%81%E4%BA%8C%E6%AE%B5

満月もめでるが、十六夜もめでる。
雲のない月もめでるが、雲に隠れた月も愛でる。

また千利休の高弟・利休七哲の一人である、
古田織部が好んだ傷や歪みのある茶碗。

従来の整った形をよしとする立場からすれば、
異端であり破調。
けれどそれさえも味のあるものとし、評価する。
これも未完を愛する価値観につながる、
不完全を愛する態度ではないかと思います。

歴史秘話ヒストリア、
《”ひょうきん”に命がけ
~戦国武将・古田織部 美の革命~》
http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/34.html

成功したことよりも、失敗したことの方をよく覚えている。
心理学用語「ツァイガルニク効果」Zeigarnik effect
http://health.goo.ne.jp/mental/yougo/023.html

未完、不完全でも、遣り残してもよし。
そんな日本の伝統的な価値観を踏まえながら、
今後も「人生やり残しリスト」を書きついで行きたいですね。

古田織部を主人公としてコミック。
へうげもの(1) (モーニングKC (1487))》(アマゾン)

気づきのセラピー―はじめてのゲシュタルト療法》(アマゾン)

  
 


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nikitoki

《梶原しげるの「しゃべりテク」50歳を過ぎて「ネット再婚」 女性精神科医の夫選び 2019/2/14》中に《「ゲシュタルト療法」で知られる「未完の行為」(過去にやり残したり、できずに放置していた課題を、後に完遂させることで心理的な問題を解決に導く技法の一つ)を完遂させるのだ》と「未完の行為」が出てきます。そのせいかこのエントリーにアクセスが集まっています。
by nikitoki (2019-02-18 16:02) 

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