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俳優・三國連太郎「人の人生は孤」「年老いても失うものはない」.一人で旅するものは最も遠く旅する。

2010年12月16日、読売新聞夕刊の
《こころ元気塾》に俳優の三國連太郎さんが登場し、
お話されています。

2010年今年で、俳優生活60年だそうです。

この話の中で、いろいろ教えられたり、
考えさせられたことがあります。

いくつか取り上げます。

まずは、役者の役という字の意味。
皆さんはご存じですか?

《役者の役という字はエダチと読むわけですね。エダツノモノとか。》

広辞苑第六版によれば、
《え‐だち【役】
(1)人民に課する労役。課役。古事記(下)「人民(たみ)の
課(みつき)―を除(ゆる)せ」
(2)戦役。持統紀「壬申の年の―」》。

役の編は、道を行く、旁の殳は、「ほこ」で、
武器を持ってうつこと、全体で辺地を守りに行くとの意味。
それが転じてつとめを意味するようになったそうです。

いろいろなところで三國さんは、
役者になった経緯をしゃべっていらっしゃいます。

職がなく、神社に寝泊まりするような生活の中、
たまたま(東)銀座の町中で、映画関係者
(松竹のプロデューサー小出孝氏?)に
声をかけられ、食べるものがもらえると、
オーディションにでかけたとか。

映画のことも演技のことも何も知らずに始めた
俳優という仕事。
そこにどんな魅力を見いだしたのでしょうか?

《何か特異な人間の磁場みたいなものを体の中にためておいて、
役を演じる。そういう仕事に大変興味を持ちました。》

以下、心に響く言葉が続きます。

《疑問を持つことが、役者の運命、宿命的なものじゃないかと思うんです。
それを乗り越えていくところに生涯をかける意味があるのではないか、
と考えながらやっています。》

作品は満足したこともなく、《思い出すのも嫌ですね。》

あくなき向上心。
その役を演じている時は、
出来うる限りの準備をして、最高の演技をする。
しかしそれで満足することはない。
つねに次へ次へ、高みを目指しているようです。

《どこかに能力の不足があるのではないかと考えて、人の仕事を見聞しながら、
自分と向き合って自分の方向をもういっぺん見定めていく。》

三國さんは、「親鸞」を研究し、ご自身で映画作品にされています。
仏教、親鸞の思想に大きな大きな影響を受けていらっしゃるようです。

《役者というのは孤独なものだと思います。誰も助けてくれません。
孤独な状態から、もういっぺん生きていくという意識を持つ、
それが役者として次の段階に到達できるバネになる、
と考えたんですね》。

《人間の存在は、「孤」だと思います、そこに気がつかないと、
妙な依存心を持ってしまう。》

「老いることで失うものは何ですか?」との問いに対しては、
《失うものはないと思います。世間では、老いると孤独になる
というけれど、人間はオギャーと生まれた時から一人なんですね。
人を恨むことも自分を恨むこともない。ただ年月が過ぎていっただけのことです。》

英語のことわざで、「He travels (the) fastest who travels alone.」
(イギリスの詩人Rudyard Kiplingの詩Story of Gadsbyの中の一行)
というものがありますが、それをもじって言えば、
「一人で旅するものは最も遠く旅する」。

そんな言葉を思い出しました。

2010年12月16日、読売新聞、(ヨミドクター)。
《三國連太郎さんインタビュー全文(1)何度も壁にぶつかった》
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=34518


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