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小銭を惜しんで大金を失う。ユッケ食中毒事件、福島原発事故に思う。

昔、ある日本料理店の厨房を見せてもらった時に、
驚いたことがあります。

それは、「かぶ」や大根の皮をものすごく厚くむいて、
そのわずかな芯の部分にしか、お客さんに出していなかったから。

板前さんによれば、かぶは皮の部分に繊維があり、それが硬いので、
煮物として使う場合は、厚くむくのだそう。

ある高級寿司店のまぐろの大トロ。

何日か熟成した生のクロマグロのサク。
それを寿司ネタにするまでを見ていたことがあります。

サクの四方八方の表面からかなり深い部分まで丁寧に取り除き、
わずかな芯の部分だけしか、にぎり寿司のネタとしては、
使わないのですね。

思わず「もったいない」と叫んでしまいましたが、
蕪の煮物、もしくは大トロのにぎりとして出すからには、
それにふさわしい食材の使い方、調理の仕方があると知りました。

今、世間を騒がせている格安焼き肉チェーンのユッケ食中毒事件。

生肉用ではなく、加熱用の肉を使い、
本来ならば、細菌のついている恐れのある
表面部分のトリミングを、もったいないからと
行わなかったことが明らかになっています。

格安な値段でお客様に提供するには、
できるだけ食材は無駄にしない……
そんな気持ちが働いたのかもしれません。

目の前のもったいないに目がくらみ、
安全面をなおざりにしてしまったのでしょう。

長年、商売をしていた近所のおじさんが、
ことある毎に、言っていました。

「小銭を惜しんで、大金を失う」
「目先の金を追うな」

トリミングを行わず、ユッケにすれば、
本来3人前しかとれないところ、
5人前になるかもしれません。

表面的に、またその時だけ見れば、
コストは下がり、会社の儲けは増えるでしょう。

しかしひとたび、こうした事件が起これば、
これまで減らした費用の数倍、数十倍の
お金が出ていくのは間違いありません。
いや、数十倍どころか、企業として存続できなくなることでしょう。

信用、安全は、すぐにお金には換算できません。
だからコストカットの時に、削られやすいのです。

今回の原発事故も、安全のための費用を惜しみ、
想定より大きな地震、津波の可能性を指摘されながら、
対策を怠ってきました。

焼き肉チェーンも東京電力も
目先の金に目を奪われていたように思えます。

同じく商売をやっていた親戚の
おじさん、おばさんが常々、話していたのは、

「商売で一番大切なのは信頼。
それは、1日に薄紙1枚ほどしか積み重ねられない。
けれど、失う時は、束で失う」

まさに焼き肉チェーン店、東京電力は、
今、信頼を束で失っています。

ユッケの場合、トリミングした肉を
どうするのか、わかりません。

けれど蕪の皮、マグロのトロの外側部分は、
きんぴらにしたり、ネギトロにしたり、
まかないに使ったりなど、使い方を工夫して
使い切ります。

そうしたことを「始末」と言うのだそう。

命に関わるところは、モノと手間を惜しまない。
だが始末できる部分は、始末する。

自分の生活、仕事の中で、
どの部分を惜しんではいけないのか、
どの部分は始末できるのか。

原発事故、ユッケ食中毒事件を、
反面教師として、見直すべきかもしれません。






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