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風をつかまえた少年。ウイリアム・カムクワンバ君。

石油、石炭など化石燃料を使わない
再生可能な自然エネルギーが大きな注目を浴びています。

太陽光、地熱、潮力、そして風力。

風力使って電気を起こす風力発電機。
それで、自分を取り巻く世界を変えた少年が、
アフリカ南東部の国マラウイにいます。

ウイリアム・カムクワンバ君です。

1878年8月生まれのカムクワンバ君。

彼の母国マラウイは、
一人当りの国民総所得300ドル弱で
世界最貧国の一つ。

その中部にあるマスィタラ村の農家に
生まれ育ったカムクワンバ君は、
中学の学費を払えず、中退を余儀なくされました。

彼の楽しみは、農業を手伝う合間に通う、
地元の図書室での独学。

その図書室は、アフリカ支援のNPOが
設置した小さなものでした。

2002年、13歳の春、そこで少年は
ある一冊の本に出会います。
アメリカの「エネルギーの利用」という教科書。
それには、巨大な風力発電機が並んだ写真がありました。

英語で書かれた説明文は読めなかったものの、
風から電気を作れるということは、分かったといいます。

電気が作れれば、ポンプで地下水をくみ上げて、
畑に水をまいて、作物を育てられる。
干ばつでも飢えないですむ。

お母さんは何キロも離れたところまで、
水くみに行かなくてすむし、
日が沈んでも家族で本が読め、
ラジオも一緒に聴ける。

どこかの誰かが作れたものを、
僕に作れないわけがない。

そう思い込んだ少年は、
自分で風力発電機を
作ることを決意したのでした。

もともと機械いじりが好きで、
何かわからないことがあると、
周囲の大人を質問攻めにしていた
好奇心あふれる少年にとって、
それは自然なことだったのかもしれません。

その日からカムクワンバ少年は、
発電機の部品探しを始めます。

探すのはもっぱらゴミ捨て場。
使えそうなモノを求め、ゴミをあさります。

その姿を見た近所の人は、
おかしくなったとあざ笑ったそう。

がらくたを拾って家に持ち込むので、
母親はカンカン。
やめるようにと告げました。

ただ一人の理解者は父親。
彼の好きなようにやらせてあげたのです。

部品集めのかたわら、図書室に通い、
風力発電に関する本を読みあさります。

英語で書かれた本を、辞書を片手に
一語ずつ読み進めていったのでした。

いとこ、友人の助けを借り、
風力発電機をくみ上げていきます。

しかし上手く動かなかったり、
感電したりと失敗続き。

風車を止めようとして、
手に大けがも負いました。

それでもあきらめず、製作を続け、
第一号機をさせたのは、
本に載っていた写真を見てから
4ヶ月後のことでした。

4枚羽根の第一号機は、風を受け、
回り続け、電気を起こし、
つなげた電球の明りをともしたのでした。

さらに二号機、三号機と改良。

いつしか村の人も彼のことを、
「マスィタラ村の発明王」
と呼ぶようになったのです。

2006年、そんな彼を地元の新聞が
「才能あふれる中退者」と報道。

それをきっかけに内外の様々な
メディアが彼のことを取り上げ始めます。

一躍有名人となった彼のもとに、
2008年、朗報が飛び込みます。

南アフリカ・ヨハネスブルクの高校
「アフリカン・リーダーシップ・アカデミー」から、
奨学生として招待するとの申し出があったのです。

高校に進んだカムクワンバ君。

2010年にはアメリカのダートマス大学の
奨学生となり、現在、さらに勉強を重ねています。

彼は中学を中退してもあきらめませんでした。

いつか復学できる。

そう信じて、独学を続けるため
図書室に通っていたのです。

逆境にあっても断念しない強さが、
本と出会わせてくれました。

両親、家族に楽をさせたい、
干ばつを防ぎ、作物を収穫し、
飢餓をなくしたいという
思いやりの心が道を切り開きました。

豊かで恵まれた環境にいる自分。
カムクワンバ少年の行動から、
学ぶことは多そうです。

TEDでの2度目の講演
《ウィリアム・カムクァンバ: 私がやって見せた風力発電》
https://www.ted.com/talks/william_kamkwamba_how_i_harnessed_the_wind?language=ja






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nikitoki

映画「風をつかまえた少年」。2019年8月2日から公開中です。
https://longride.jp/kaze/

by nikitoki (2019-08-07 18:29) 

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