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大愚良寛さん。「死ぬる時節には死ぬがよく候」。スティーブ・ジョブズが影響を受けた禅。

先頃、亡くなったアップルのカリスマ経営者スティーブ・ジョブズ氏は、
若い時にインドを訪れ、仏教と出会い、その後、禅の教えに引かれ、
オイゲン・ヘリゲルが著した「弓と禅」が愛読書であったそうです。

さらに日本人の禅宗の僧で、カリフォルニア州で教えを広めた、
故・乙川弘文氏に深く傾倒していたとのこと。

この乙川氏は、新潟県加茂市の曹洞宗の寺の生まれ。

スティーブ・ジョブズ氏は、数多くの教えを禅宗から
学んだとのことですが、その一つが、そぎ落とすこと、
捨て去ることだったようです。

地位、金銭、名誉、欲などを捨て去った名僧の一人が、
乙川氏の故郷でもある越後は、出雲崎の生まれの良寛さん。

良寛さんの号は大愚。

大愚とは、非常に愚かなことや人、
また自分のことをへりくだっていう場合に使います。

上は、辞書的な意味ですが、良寛さんの「大愚」とは、
すべてを天然自然、真理にまかせきる心を指すもののようです。

1828年(文政11年)の旧暦霜月(11月)12日に発生し、
死者およそ1600人を出したとも伝えられる越後三条地震。

被災したもののわずかな被害であった良寛さんは、
大きな被害を受けた与板町の町年寄りで、造り酒屋の当主、
親友であり、父方の親戚でもあった、山田杜皐に、
地震見舞いの手紙を送っています。
その中の有名な一節。

「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候 
死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候」

スティーブ・ジョブズ氏の逝去を受け、
この良寛さんの文が頭に浮かんできました。

仏教で「定命」という言葉があります。
一般でも使われます。

前世からの因縁によって定められている寿命、
天から与えられた運命といった意味です。

天然自然にまかせきり、定命をうけとる。

受け身のように思えますが、その前提として、
与えられた命、状況を受けとり、生ききるということが
あるのではないかと、自分は理解しています。

新燃岳爆発、東日本大震災、台風被害。
天変地異が続く2011年。
命、人生に思いを巡らすも、惑うばかりの秋です。

水上勉著。
《良寛 (中公文庫)》(Amazon)

大正時代、日本に来たドイツ人の哲学専攻の
大学教授が、自らの弓道修行について記した書。
弓と禅 改版》(Amazon)

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スティーブ・ジョブズ名語録 (PHP文庫)》(Amazon)

唯一、スティーブ・ジョブズ氏が公認した自伝。

スティーブ・ジョブズ I》(Amazon)

スティーブ・ジョブズ II》(Amazon)



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nikitoki

NHKーBSプレミアムで《10月18日(火) 午後11時45分アナザーストーリーズ「知られざるスティーブ・ジョブズ~伝説のスピーチの真実」》が放送されました。
http://www4.nhk.or.jp/anotherstories/x/2016-10-18/10/4404/1453039/

by nikitoki (2016-10-15 12:39) 

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