皆さんは、「ミッシング・ツイン」という言葉をご存じでしょうか?
missing twinで失われた双子(のうちの一人)。
母親の胎内では、双子で二人いたのですが、
出産に至るまでに、吸収されてしまった胎児を
指す言葉のようです。
自分が大きくなってから知ったのですが、父と母は、
結婚してから長らく子どもができませんでした。
そのため当時、最先端と言われた不妊治療を受けたそうです。
何度目かの治療で、妊娠。
そして未熟児ながら、健康な男の子を授かったのでした。
それが私です。
それから後、自然妊娠で3つ下の弟も生まれます。
おそらく弟が出来る前ころからだと思いますが、
一人でいるときもなぜか、誰かそばに
いるように思えてならなかったのです。
そしてついにその姿が見えるようになりました。
自分と同じくらいの背格好の女の子。
顔はよく似ているのですが、
もちろん自分ではありません。
にこにことして、気がつくと自分の周りにいるのでした。
何か言葉を発する訳ではなく、ただそこにいる。
自分は、その存在をしっかり意識しているのですが、
自分以外の他の人には、見えたり、感じたりしないようなのです。
(両親は、見えないものを見ると言う我が子=自分に、
何かおかしい点があるのではないかと心配し、
医師に相談したようですが、異常はなかったようです)
弟が大きくなり、二人で遊ぶようになると、
次第にその女の子は消えていったのでした。
自分は、勝手にその女の子を「妹」と思っていたのですが…。
その存在は、忘れたようでいて、
ずっと頭の奥深くに眠っていました。
中学の時だったか、学校の図書館で、
本か新聞・雑誌か何かを読んで、
「ミッシングツイン」の事を知ったのです。
そして確信したのです、
あの女の子は、ミッシングツインだったのではないかと。
自分は双子で、胎内で「妹」が自分に同化して
消えていったのではないか?
そう思うようになったのでした。
両親は、否定も肯定もしませんが、
「ミッシング・ツイン」の話には驚いたようでした。
(ミッシング・ツインは、一卵性双生児、つまり同性である場合が多いそう)
もしかして生まれていたかも知れない妹
(姉かもしれないが)のことを、
最近、ふと思い出すことがあります。
小さい時、妹がそこにいてくれて、二人と思うと、
気持ちが安らかになり、安心できました。
今では見えることもなく、過去の記憶をひっぱりだすだけですが、
できることなら、もう一度、彼女を見て、感じてみたい。
そして、もし彼女が生まれていたら、どんな人生を送っていただろうか
と考えることもあります。
その存在の意味を、専門家に尋ねてみたい気もします。
手塚治虫さんの作品「ブラックジャック」。
ブラックジャックと一緒にいつもいるピノコは、
姉の体の中にいた「畸形嚢腫」。
ブラックジャックが取り出して、一人の女性にしたのでした。
《
ブラック・ジャック(1) (手塚治虫文庫全集 BT 58)》(アマゾン)
王貞治さんは、二卵性双子。
王さんは、未熟児で虚弱で、
2歳まで立つこともできなかったそう。
お姉さんは丈夫だったのですが、
1歳3ヶ月の時に、はしかにかかって亡くなられたとか。
それ以来、王さんは、次第に元気になっていったとのこと。
お姉さんが病気を連れて行ってくれた
とご母上は語っていたそうです。
デイリースポーツ、2010年8月17日。
《ソフトバンク王会長の母・登美さん死去》
http://www.daily.co.jp/baseball/2010/08/18/0003330010.shtml《双子の未熟児だった王会長。一緒に生まれた姉・広子さんが
1歳3か月で亡くなり「姉は貞治の体の悪いところを持っていってくれたから、
お姉ちゃんに感謝しなさい」と登美さんは言ってきかせたという。》