「おにぎり」ではなく、「おむすび」という人も多いでしょうね。
皆さんは、どちらの言葉が古いとお考えでしょうか?
様々な説がありますが、「おにぎり」の方が古いのだとか。
「おにぎり」は、もち米を蒸した強飯(こわいい)を握った“にぎりめし”が原型で、
それが、「おにぎり」と言い換えられ、さらに、もち米からうるち米で、
作られるようになったものだそう。
一方、「おむすび」は、江戸時代に身分の高い女性や大奥などで、
女性の丁寧でやさしい言葉、女房言葉として、「おにぎり」を言い換えたのが
始まりなんだそう。
《おにぎり・おむすび》
http://www.komenet.jp/_qa/kome_chishiki/onigiri.htmlそう言われると、確かに「握る」より、「結ぶ」の方が、
やわらかくて、ふんわりとした感じがします。
けれど、どちらも、食べる人のことを思って、手で形作るところに、
相手に何かを与える力の源がある気がします。
そこで思い出すのが、「森のイスキア」を主宰されている
佐藤初女さんの「おむすび」。
皆さんは、ご存じでしょうか?
龍村仁 監督の映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第二番」で
取り上げられ、その後、様々な本、雑誌、テレビなどで紹介されているので、
ご存じの方も多いでしょうね。
初女さんは、青森県の弘前、岩木山の麓に、憩いと安らぎの場
「森のイスキア」という、施設をたて、そこを訪れる人々に、
手作りの料理を出してもてなしています。
初女さんの作った「おむすび」を食べて、自殺を思いとどまった人もいるそう。
使っている米、梅干し、海苔などの材料は、決して特別のものではなく、
吟味されているものの、一般的なもの。
なのになぜ、そんなに食べる人の心まで変え、
生きる意欲がわいててしまうほど、力があるのでしょうか?
初女さんのおむすびは、指先ではなく手のひらを使って握るのが特徴。
けれど、それだけでそのような効果が出るとは考えられません。
「お米は生きていますから、おむすびを作るときは、つぶれないように、
お米の一粒一粒が息ができるようにと思って、そっと握ります」
一粒の米にまで、心を配る初女さんの思いが、
「おむすび」を通じて、食べる人に伝わるからでしょうか?
《おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記 (集英社文庫)》(Amazon)米という「いのち」をいただいて、自らの「いのち」をつなぐ。
食べるということは、「いのち」を移し替えることなんですね。
佐藤初女さんの本を読むと、これまで忘れていた
当たり前のことに気づかされます。
米一粒一粒、さらにすべての食材の「いのち」にまで、
思いをもって、「おむすび」や料理を作り、頂きたくなります。
「いのちの森の台所」
http://www.shueisha.co.jp/omusubi/佐藤初女さんは、1921年10月3日のお生まれ。
先日、90歳になられたのですね。
何時までもお元気で、おむすびを握って、
多くの病んだ人に力を与えていただけますように。
2011/05/24出版。初女さんの最新刊。
《いのちのことば 心の道しるべ137言》(Amazon)佐藤初女さんを北海道で応援する「雪のイスキア」のサイト内、
《森のイスキア》
http://www.geocities.jp/yuki_no_isukia/mori2.html《初女さんのおむすび》(Amazon)