あるところで、事務手続の順番を待っていました。
簡単な手続と思われるのですが、
係の人が不慣れなためか、
係の人数が少ないせいか、時間がかかり、
待つ人は増えるばかり。
自分の後ろには、年配の方が待っていました。
そのまた後ろに、その方の知り合いのやはり、
年配の方が。
話し始めました。
「われわれ年寄りは、定年で、仕事もしなくていいから、
少々待たされてもいいと思われているし、」
「そうやって待たされても、腹を立てないのが、長生き、
ストレスを貯めないとか言われているけれど、嘘だよね」
「そうそう、年寄りこそ、若者に比べれば、大抵の場合、
人生の残り時間が少ないんだから、時間が貴重なんだよね」
「昔、勤め先で先輩から教えられたもんだ。『時間はごちそう』ってね」
「いったねー。いかに美味しいものでも、
出すタイミングを間違えば、まずくなる」
「逆にゆったりとしたい人には、少し時間をおいてだす」
その後も、お二人で、話していたのですけれど、
「時間はごちそう」という言葉が新鮮でした。
残り時間が少なければ、それだけ時間は貴重。
それを大切に扱ってもらいたいのは、高齢者ほど
そうなのかもしれません。
それを勝手に、リタイアしているから、
時間が自由になるなんて思い込むのは、
若い者の身勝手ですね。
この言葉と会話を聞けた待ち時間は、
思わぬ有意義な時間となりました。