鼻の頭を押すと、自分の分身になるというロボットです。
宿題、お手伝いなどいやなことはコピーロボットに押しつけ、
美味しいものを食べたり、遊んだりなどは、自分が引き受ける。
本当にそんなコピーロボット、分身が欲しいと思ったものです。
その後、「自分によく似た分身が世界に3人はいる」ということを、
誰からに教えられたのか、本で読んだのか、とにかく知りました。
自分の分身のことを、ドッペルベンガーというのだとも。
ドイツ語でDoppelgänger。
ドッペルベンガーは、自分がいないところで、
第三者に見られたり、また自分自身が見ることもあるそう。
ただし自分が分身を見たら、死期が近いとも言われているそうです。
そんなことを忘れていたあるころ、
ニューヨークで友達の知り合いという
画廊のオーナーが開くパーティーに行った時のこと。
もう具体的な相手の情報は忘れましたが、そこで初めてあった人が、
「あなたにそっくりな人に会ったことがある」
と言い出しました。
アメリカに限らず、相手と親しくなるきっかけとして、
「以前、どちらかでお会いしましたか?」
と聞くことはあるので、そうした儀礼的な挨拶かと
思っていたら、全く違っていたのです。
本気で、あなたにそっくりな人に会ったと何度も、言い張るわけです。
そこで、
「世界で自分に似た人は3人いるから、そのうちの一人かも」
と冗談で言い返したのですが…。
その後、東京でのこと。
これも詳しい状況は忘れましたが、
「あなたにそっくりな人を、○日のどこそこで見かけた」
と言われたことがあります。
もちろんその時刻、自分は別の所にいたのですが…。
源氏物語に、六条御息所が、生き霊となり、
葵上を呪い殺してしまうという有名な話があります。
もしかして知らない間に、自分が生き霊を飛ばしたり、
もしくは幽体離脱してしまったのかとも考えたのですが…。
実は、中学生の頃、自分の意識のテストとして、
夜寝る前に、自分が自分から抜け出て、自分を上から見たり、
ずっと天空のはてに飛ぶ出すということをやっていたことがあります。
あくまでも実際にそうしていた訳ではなく、頭の中の想像としてですが…。
どうも生き霊、幽体離脱とは考えられません。
ともかく自分は、まだ分身にはあっていないのですが、
他の人が、自分の分身にあっているらしい。
分身にあったことがあるとの体験を自ら語ったり、
書き残したりという有名人も多いようです。
その一人が芥川龍之介。
彼自身、ドッペルゲンガーに出逢ったことを語っており、
さらにそれをモチーフにした作品を残しています。
短編「二つの手紙」。
ドッペルゲンガーに出逢ったことで、主人公や精神的に
追い込まれていくのですが…。
芥川龍之介、「二つの手紙」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/165_15240.html芥川は、「二重人格」と語っていたようです。
西洋では、モーパッサン。
夜、部屋にもう一人の自分が入ってきたとか。
その人物から自分が書いていた小説の続きを聞いて、
書き留めたと伝えられています。
一種のドッペルゲンガーについて書いた作品。
「オルラ」
《
モーパッサン怪奇傑作集 (福武文庫) 》(アマゾン)
ドイツの文豪ゲーテも分身にあった一人。
彼は、馬に乗っていた時に、前からやってきた男を見て、驚きます。
自分だったから。
しかし、着ていた服は、それまで自分が着たことがなかったものだったようです。
通り過ぎ、もう一度、振り返ったときに、その男はいなくなっていたと。
8年後、同じ道を馬に乗って進んでいたとき、はたと、
自分が着ている服が、8年前にあった男が着ていたものであることに、
気づいたそう。
分身で「物語要素辞典」を検索。
芥川自身の体験を綴ったと思われる「歯車」、
さらにゲーテの「詩と真実」中に、上記の記述が見えます。
http://www.weblio.jp/content/%E5%88%86%E8%BA%AB映画では、日本映画で黒沢清監督の「ドッペルゲンガー」
があるようですが未見。
ドッペルゲンガーの要素が含まれていることで
知られているのは、ヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」ですね。
《
見知らぬ乗客 特別版 [DVD]》(アマゾン)
《Doppelgangers and doubles in
Hitchcock's movies;
The psychomachia》
http://faculty.cua.edu/johnsong/hitchcock/pages/doubles/doppelgangers.htmlという訳で、是非とも、自分のドッペルゲンガー、分身に
出逢いたいものです。
どこにいるのか、探すのが大変ですが。