もう随分前ですが、
日本の料理店に働きに来た
イタリア人に、ボランティアで
何度か日本語を教えたことがあります。
その時、感じたのは、日本語はしゃべれても、
教えることとは別ということです。
知人が、数ヶ月前から、ボランティアで、
日本語を教えているそう。
教えるのは非常に楽しいのだが、
日本語の難しさに改めてびっくりしている
と。
教わる方は、アメリカ、ブラジル、
タイ、シンガポール、ケニアなど
世界各地から来ています。
それぞれの母国語はもちろん、
英語はかなり堪能。
日本語のレベルはバラバラですが、
日本に来るだけあって、全くの
初心者ではありません。
そうした生徒からの質問に、
はっとするのだとか。
一応、基本的な事項や多い質問に関しては、
マニュアルというか教本があるのですが、
それを相手のレベルにあわせて、説明するのは、
教える側の力量が問われるようです。
たくさんあった質問の中で
多かったのは、数字の呼び方。
1,2、3,4と数字は数えられるのですが、
後ろに言葉がつくと、呼び方が異なると、
生徒はいうのです。
数字の1。これは「イチ」。
ところが、「9月1日」の場合は
「ツイタチ」。
これは、「(ツキタチ(月立)」がなまって、
「ツイタチ」になった。
昔は、月を使った暦を使ったので、月が出る日は、
1日でツイタチとなった。
などと説明したそう。
「先生、1個はなぜ『イッコ』なんですか」。
確かに言われてみれば。1を「イッ」と読む。
また「1をひとつとも言いますね」。
確かに。
4は、ヨン。シ。
4月4日4時4分は、
「シガツヨッカヨジヨンプン」。
みんなバラバラと。
言われてみればそうですね。
後、多いのは、助詞。
「私はイタリア人です」
「私がイタリア人です」。
「は」と「が」の違い。
〇信号の「進め」は、緑色なのに、
なぜ青信号なの。
(これは、テレビ番組などでもよく出されます)
〇色関係では、茶色は、緑茶なら緑色なのに、
なぜあの色(brown)。(ほうじ茶)
〇料理を注文するとき、
「私はかけそば」「僕はカツ丼」と言う。
意味がわからない。
〇「こんにゃくは太らない」「脂身は太る」
モノであるこんにゃく、脂身が太ったり、
太らなかったり、意味がつかめない。
知っているようで、知らない、
説明できない日本語。
知人は、それをはっきりと
自覚したと言います。
日本語に限らず、時事用語、ニュースなども、
子どもや家族にわかりやすく説明するためには、
どうしたらいいかを知人は、考えるようになったとか。
立場の違う人と、接する価値、意味を
大いに感じている知人なのでした。