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「津波てんでんこ」。釜石市の小中学生を救った先人の教え。

この大震災の後、日本の多くの方は、
「津波てんでんこ」という言葉を知ったのではないかと思います?

皆さんは、ご存じですか?

この言葉は、
津波に何度も被害を受けた三陸地方に伝わるもの。

「てんでんこ」とは、「てんでんばらばら」。
津波が来たら、親子であろうがかまわず、
人を頼りにせず、一人一人が高台に逃げよという教えで、
一家全滅、共倒れになることを防げとの知恵なのだそう。 

週に1時間は防災教育に時間を割き、
年3回も避難訓練を行ってきたという
釜石市の釜石東中学校、隣の小学校を含め、
釜石市内の小中学生は2923人。

早退、欠席していた児童、生徒5名は、
死者・行方不明者となったものの、
後はすべて無事だったそうです。

それもこの「てんでんこ」の教えが身についていたからでしょう。

この教えは、津波から逃げる時だけでなく、
その後の心の持ち方も含んでいるのだそう。

すなわち、
自分だけ助かっても、それは非難されることではない。
助けきれなかった者を責めてはいけないということ。

それくらい、津波は厳しく怖いものだということでしょうね。

古くから、三陸地方に伝わっていた「津波てんでんこ」を、
一般に広めたのは、岩手県大船渡市の津波災害史研究家
山下文男さんと言われています。

山下さんの一族は、明治の大津波(1896年)で祖母ら9人が亡くなり、
ご自身も昭和三陸津波(1933年)、チリ地震津波(1960年)を体験、
地元を中心に父母から教えられたこの言葉や、津波被害の恐ろしさ、
さらに避難の心構えを講演したり、著書でひろめていらしたそうです。

87歳の山下さんは、地震当時、県立高田病院に入院中。
首まで水につかりながらも、無事に生き抜いていらっしゃいます。
(自宅の大船渡市の綾里の自宅は半壊)

岩手日報、2011年3月17日。
「津波研究者、九死に一生 大船渡の山下さん」
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110317_9

ポリスチャンネル
《てんでんこ~津波防災教材~》(制作・著作:釜石市立釜石東中学校)
http://www.police-ch.jp/video/14/006320.php山下さんは、

山下氏が伝えた「津波てんでんこ」は、
弱者を切り捨てているのではありません。

「てんでんこ」に走って逃げられるものは、
自分の責任で身を守ればいい。
しかしそれができない弱ったお年寄りや弱者は、
普段から家族や地域で誰が、どのように助けるか
話し合い、準備しておくことが必要と
話されたり、書かれたりしているのです。

自分の命は自分の責任で守れ。
誰かを助けようとしたり、
一緒に逃げようと思うと共倒れになる。

そういう意味もありますが、
一方では、弱者の救済についても、
考え、事前に入念に準備しておく。
そうしておけば、共倒れになり、全滅することはない。

先人の知恵を風化させず、伝えていく大切さを思いました。

岩手日報社、津波てんでんこ
http://www.iwate-np.co.jp/tendenko.html

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《減災に挑む30のストーリー
26 自分の身は自分で守る》
http://www.rsy-nagoya.com/wisdom/tiiki/tiiki26.html

「心は一つ」、「みんな一緒に」なることも大切かもしれません。
けれどその前に、それぞれが、「てんでんこ」の精神を持つ事が
より重要なのではないでしょうか?


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