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「反省させると犯罪者になります」。安易な反省は再犯に。すぐに結論を出すのは、解決にならず。

新聞の書籍広告欄に、
何とも刺激的なタイトルの本が紹介されていました。

気になって、すぐに本屋に走りました。

その本とは、

反省させると犯罪者になります (新潮新書)》(Amazon)

新潮社のサイト内のこの本の紹介。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610520/

著者の岡本茂樹さんは立命館大学産業社会学部教授。
刑務所での累犯受刑者の更生支援に携っていらっしゃいます。

現場、実務に基づく内容です。

犯罪を犯した犯罪者。
反省を安易に求めるのは、
累犯防止の点からは逆効果。

すぐに理想的な反省を口にしたり、
文章にしたりするのは、
更正という面からは意味がないようです。

謝罪をしてそれで終わり。

心の中では、ちっとも反省しておらず、
世間向けに、すなわちそれを通じて、
仮釈放や刑期を減らすタメに
反省をしたふりをしているだけと。

反省をさせずにどうするのか?

「加害者の視点で考えさせる」。
被害者の視点ではありません。
またよく言われる、「被害者の心情」も考えさせないのです。

「加害者の視点」とは?

罪をおかした加害者に、「言い訳」をさせるのです。
なぜ、そのような犯罪を犯してしまったのか。
それは、こういう理由があったからと。

自分は悪くない。
あいつさえいなければ……。

自分の心の中のネガティブな感情を見つめ、
それを思う存分に吐き出す。
そうすることで、自分の心の痛みを理解するのです。
そこから初めて他者の心の痛みを考えることができる。

いじめ問題。

いじめた加害者は悪い。
いじめられた被害者はかわいそう。
だから絶対に、いじめはしてはいけない。

これでは問題の解決にならないと。

まずは加害者視点。
「なぜ、いじめたくなるのか」。
それを考えることから、
いじめ防止が始まるのですね。

加害者は、人とつながり、
「幸せ」にならなければならない
と、著者は言います。

「幸せ」になれば、
それをもたらしてくれた「人」の大切さを、
加害者は知ります。

大切な人を奪い去った
自分の罪に向かい合うことになるのです。

幸せが大きければ大きいほど、苦しさは大きくなる。

昔、手塚治虫の「ブッダ」か「火の鳥」かで、
人を殺めた登場人物が、赦され、慈悲を施されたことで、
かえって己が罪を一層深く自覚することになる
との記述がありました。

安易に反省を求めることは、
矯正・更正させようとする側の自己満足で、
自分の行為が効果があったと納得させるためでしかなく、
本当は、加害者のことなど考えていない行為なのかもしれません。

人とは、罪とは、更正とは……など、
様々なことを考えさせられた一冊でした。


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