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橋田壽賀子さんが「おしん」で本当に伝えたかったこと。「おしんの心」。

現在、あの「おしん」の映画版が公開中ですね。

http://pr.livedoor.com/movie/oshin/

おしんの子ども時代を演じている
濱田ここねちゃんが、
すごくいい演技をしていると評判ですね。

1983年4月から、1年にわたって放送されたドラマの方は、
現在、NHKBSプレミアムで、アンコール放映中です。
http://www.nhk.or.jp/bs/oshin/

日曜日の午前10時から1週間分の6回を一挙放送しています。
母が見ているので、遅い朝食の時に、一緒に見ています。
それで気付いたのですけれど、
おしんは、セルフサービスのスーパーマーケットを始め、
(10月22日の放送分はまさに開業しようとしているところ)
成功した……と思われているのですけれど、
子ども(仁=山下真司)とは対立し、
またその嫁ともうまくいかないのですね。

アンコール放送の冒頭は、おしんの83歳の姿から
描かれていました。そこから人生を振り返る構成になり、
折に触れ、現在と過去が交錯します。

晩年のおしんは、確かに成功者ですが、それよりも、
むしろいろいろな問題を抱えている女性として
描かれているんですね。

乙羽信子さん演じるおしんは、
「私の人生、どこかで間違ってしまったような気がする」
と嘆いているのです。

自分が30年前に見ていたときの印象と
まったく違っているのです。

「おしん」を手掛けた脚本家の
橋田壽賀子さんの「おしんの心」という文庫が9月に
(おそらく映画公開にあわせて)出ました。
(何年か前に出た「おしんの遺言」を文庫にし改題)

橋田さんは、現在88歳。
「おしん」の名前にかけて、
「真」「信」「芯」「心」「身」「辛」等の
12の「しん」についてメッセージを書いています。

冒頭は、「誤解されてきた〈おしん〉」。

橋田さんが、この作品を通して
言いたかったのは、「身の丈」。

「日本人はもうこれ以上、経済的に豊かに
ならなくてもいいのでは!?」
「そろそろ身の丈にあった幸せを考えてみてはどうですか」
ということでした。

明治生まれの方からの手紙がもとになり、
明治、大正、昭和を生きた女性を描くことで、
「経済的な豊かさとは何なのか」を問うドラマを、
作りたいと思ったのだそうです。

企画を初めに持って行ったのはTBS。
暗いと不採用に。
続いてNHKに持ち込んだものの、
同じく暗い、華がないとボツになったとのこと。

その後、テレビ放送開始30周年の記念ドラマを作りたい
とNHKからもちかけられ、もう一度、
この企画を出したところ、ようやく通ったとのこと。

おしんは、「苦労はしたけれどめでたしめでたし」の
ドラマではなかったのです。
おしんも家族も金持ちであるけれど、幸せではない
と橋田さんは、はっきりと示していたのです。

橋田さんは、ほんとうの豊かさ、幸せを
視聴者に問いかけたかったのですね。

放送されていた当時は、バブル前。
まだまだ豊かさを求めていた時代でした。

橋田さんの作品に込めたメッセージは
伝わらなかったようです。

しかし、橋田自身、書かれていますが、
バブルがはじけたことにより、
「身の丈にあった暮らし」「スローライフ」が
言われるようになりました。

まさにようやく、作品に込めた「身の丈」「足るを知る」
という作者の思いが、理解される時代になったのでしょう。

おしんの心 (小学館文庫)


こちらで、冒頭の「はじめに」が読めます。
http://sample.shogakukan.co.jp/bv?isbn=9784094088618

本には、橋田さんの生き方、老い方に関する考え方も出てきます。

最終章は、「新」で「新たな自分探しをしていますか?」。

楽しみを作り出す能力を失わないことが生きること
との橋田さんの考えが述べられています。

いつまでも若く、作品を生み出し続け、
生涯現役の橋田さんの秘密を知った気がします。


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