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日本橋高島屋のコンシェルジュの敷田正法さん。ライバル店もお客様にご案内。心を尽くしたおもてなし。

家が近いので、日本橋高島屋をよく利用します。

高島屋はちょっとおしゃれなよそ行きな感じ。
丸善とともに訪れ、地下の食糧品売り場で
買い物をすることが多いです。

その高島屋の1階正面玄関で、
よく見かけるお顔があります。

敷田正法(しきた・まさのり)さん。
訪れたお客様を笑顔でお迎えし、売り場などの質問を受けると、
丁寧に案内をされています。

こちらから一方的に存じあげているだけなのですが、
2013年11月18日、朝日新聞夕刊の
連載『凄腕つとめにん』に取り上げられていました。

現在、66歳。
年間に36000人ものお客様に
応対されているんですね。

敷田さんの対応が具体的に書かれています。

日本橋高島屋にはないティファニーの
場所を尋ねられたら、

《「こちらにはございませんが、横浜、新宿にあります。
近くですと三越さんにありますよ」》

そう自社だけでなく、近所のライバル店にあれば、
それをお客様に告げるのです。

行き方を教えるときも心配りがあります。

《夏場は日陰が多い道順を、冬場は日が当たる道順を案内する。
それでもわかりにくければ、目印になる地点まで一緒に歩く》。

以前にもこのブログか別のブログで書いた覚えがありますけれど、
昔は、どこのお店もそうでした。
商売敵と思われる店に、お客様がお求めの品があれば、
それをお教えするのが一般的でした。

敷田さんは、
《心を尽くしたおもてなしは、ちゃんとお客さまに届く。
そして必ずまた店にお越しいただける》
との信念からそうされているのです。

それを実証する例が次に示されています。

葛飾北斎の浮世絵が欲しいとやってきたフランス人のお客様。
日本橋高島屋には売っていません。

銀在の木版画店が思い浮かんだものの、
(おそらく並木通りの渡邊木版美術画舗)
住所だけ渡してもたどり着けない。

そう考えた敷田さんは、どうしたか?

タクシーに同乗して案内、
免税の手続きをもしてあげたのです。

感謝して帰国したそのお客さんは、半年後、再来日。
店にきて、山ほど買い物をされたとのこと。

いやー素晴しい。

コンシェルジュの世界では、
「ありません、できません、知りません」は禁句。

敷田さんも禁句を発しないよう
努力を続けていらっしゃいます。

近所のおいしい店を尋ねられることが多いため、
周辺の飲食店をほぼ頭にいれ、
新規オープンの店には、自腹で食べに行き、
料理、味、行列の有無、値段、休業日を自分の足と舌で
確かめ、その情報をパソコンに入力し、同僚と共有。

さらには、名所、旧跡の位置を覚えるため、
休日には町歩き。

単に雑誌やネットだけの情報だと、
間違っていたり、自信を持って教えられないですものね。
とはいうものの、大変な労力がかかります。

ニューヨーク店に6年勤務していたため、
英語での接客も行っていらっしゃいますが、
アジアからの買い物客が増えているので、
現在、中国語と韓国語を勉強中。

通勤電車の中で、スマートホンのアプリで、
発音を覚えているとのこと。

その国の言葉で応対したいという敷田さん。
あくまでもお客さんの立場、気持ちに立って
物事を考えているんですね。

ここまでやってこその「おもてなし」なんでしょうね。

日本橋高島屋は今年で開店80年。
それを記念して80年を迎えた、3月19日から、
従業員の方は、左胸に
「象のたかちゃんピンバッチ」をつけています。

象のお腹に「80th」と書かれています。

この象は、戦後の一時期、
日本橋高島屋屋上で飼っていた
アジアゾウの高子(たかこ。愛称たかちゃん)。

芸達者で多くのお客様の気持ちを和ませた
象の高子に「もてなしの心」を学ぼうと、
バッジを製作し、2013年の年末まで着用しているのだとか。
敷田さんにも毎日10人ほどが、
この象のバッジについて質問するそう。

自分は知らないのですが、それより上の
60代の方は、覚えているようです。

高子は1949年タイ生まれ。
1950年、生後8カ月の時に、下関港にやってきて、
高島屋の屋上で飼われていたんですね。

名前は公募。
店名から1文字とった「高子」に。

おすわり、ラッパ吹き、旗振りなどの芸を披露していただとか。

日本橋高島屋Facebook、3月19日
https://www.facebook.com/takashimaya.nihombashi

○バッジの絵を描いたのは、都内在住の
 帽子デザイナー、荒井静枝さん64歳。
 (たかちゃんと同い年)
 3歳の時に、高子の背中に乗り、写真を撮影した。

○1954年、高子は体重が1.5トンに増え、
 屋上で飼えなくなったので、上野動物園に。
 1958年に多摩動物公園に移り、1990年に死んだ。

○荒井さんは、多摩動物公園で高子と再会。
 2012年、絵本「デパートのうえのたかちゃん」を出版。
 (あらい靜枝名義)

デパートのうえのたかちゃん》(Amazon)


○2013年1月にトークショー。そしてバッジのデザインを依頼。

○日本橋高島屋の建物は、百貨店として初の国の重要文化財。
 2009年4月(6月?)に指定。
 《高橋貞太郎による建築と村野藤吾による4期にわたる増築。
 それが一体不可分の高い完成度を持つと評価され、
 百貨店で唯一建築物として国の重要文化財に指定されました》。
 (Facebookの記述、2009年6月、下記リンクでは「初の」となっている)
 屋上には建築家・村野藤吾が象の形にした
 エレベーターの機械室がある。
 
 《屋上塔屋 昭和25年から4年間、屋上で飼われ、こどもたちの
 人気者だった子象の高子をモチーフにした、
 ボールト状(かまぼこ型)の屋根が美しい塔屋。》

 なお「東京都選定歴史的建造物」に選定。(2006年3月)

 「高島屋東京店 重要文化財見学ツアー」も実施中。
 http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/cultural_propertie/

 こちらに、詳細な写真と文章で、
 《やっぱり百貨店って面白い!日本橋高島屋見学ツアー》
http://4travel.jp/travelogue/10627627
についての投稿あり。



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コメント 3

nikitoki

2014年3月4日、フジテレビの「ノンストップ!」で敷田さんが、紹介されたようです。
by nikitoki (2014-03-04 18:24) 

nikitoki

2017年2月25日、「ジョブチューン」「明日行ける!週末家族連れに大人気のスポット2時間SP」内で敷田さんが取り上げられたためか、この記事にアクセスが集中しています。
by nikitoki (2017-02-25 21:49) 

nikitoki

2017年11月4日、サタデープラスの「プレイバックニュース」のコーナーでは、11月4日に松坂屋上野店南館跡に開業する上野フロンティアタワーから百貨店を特集。日本橋高島屋の屋上で飼育していた象の高子を取り上げていました。敷田さんが、高子について説明していました。
http://www.mbs.jp/saturday-plus/
by nikitoki (2017-11-04 09:04) 

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