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小石に松葉のラブレター。文字が使えぬからこそ、思いは深い。マイナスを引き受けよ。

あなたは、小石に松葉のラブレター
って聞いたことがありますか?

その昔、字を読み書きできる人が
余りいなかった時代、
自分の気持ちを伝えるのに、
手紙ではなく、モノで示したというのです。

例えば、小石に松。

どう使ったのでしょうか?

好きな女性に自分の気持ちを告白する時に、
小さな石に松葉を結んで、
女性の家の門前などに置いておくのだとか。

その心は?

「恋し(小石)く待つ(松)」なんだそう。

承諾の返事は、その小石を取り込む。
つまりその松葉で結んだ小石がなくなっていれば、
思いが受け入れられたということなんですね。

女性は、置かれた松葉の小石を、
どうやって誰からのものと
判断したのでしょうか?

これはちょっと気になるな-。

逆に女性から男性へは、
「すすき、よめな」(どちらも植物)を
投げるというのもあったよう。

これは「好き、お嫁さんにしてください」
との意味。

いやー、これは直接、投げられるから
相手がわかりますね。

昔、向田邦子さんのエッセイ「無口な手紙」
(エッセイ集「男どき女どき」所収)に紹介されていた、
「いしぶみ(石文)」。

これは、まだ文字を知らなかったころ、
遠くにいる恋人に気持を伝えるのに男が、
自分の気持ちにピッタリの石を探して、
旅人にことづけるもの。

受け取った女性は、掌に石を包み込み、
尖った石だと、病気か気持がすさんでいるのか
と思い、逆に丸いス ベスベした石だと、
元気だと安心したのだとか。

向田さんは、「いしぶ み」こそ、
ラブレターのもとではないか
と書かれていましたね。

それを読んで知った脚本家が、
映画「おくりびと」の中に、
取り入れていました。

さて、小石に松や、ススキ、ヨメナなどは、
江戸時代の紀州の熊野地方で
一般的だったものだとか。

松に小石で結ばれ、生まれた男の子には、
「石吉」とか「石作」、女の子には、
「お松」など、石と松にちなんだ名前をつけた
というのですが、本当なんでしょうか?

さらに小石は、礫(つぶて)といいます。

相手から何の音沙汰、返信がないことを、
「なしの礫(つぶて)」というのは、
この石に松の風習からとの説もあるそうです。

なしのつぶては、「梨の礫」。
「梨」は「無し」にかけたもので、
一般的には、
「投げた小石のように帰ってこない」
という意味から来たとされています。

今の時代、パソコン、携帯のメールで、
気軽に恋しい気持ちも送り合い、
さらには携帯電話で、話し合い、
気持ちを確認することができます。

テクノロジーの進歩で、気軽に格安に、
いつでもどこでも通じ合えるというのは、
歓迎すべきことかもしれませんが、一方で、
書いて出す手間、返事が返ってくるまでの
待つ時間など、大切なものを失わせて
しまったような気がします。

メールも、電話もさらには、手紙も使わずに、
例えば、どうやって相手に気持ちを伝えるか?

なにか制限を課した方が、
気持ちがより真剣になるのではないでしょうか?

よく「恋は障害があるほと燃える」などと言いますが、
それは何も恋だけではなく、仕事、人生でも同じではないか。
なにか不足したり、制限があったり、逆風の時の方が、
それを乗り切った時に、より充実感を得られるのではないか。

そんな気がしてきました。

「苦労はしたくない」「マイナスは避けたい」
そう考えるのではなく、
「苦労、どんと来い、大歓迎」「マイナスも引き受ける」。
そう思って生きた方が、実りは多いのかもしれません。

いかがでしょうか?

○東北地方の求愛の風習「錦木」。
 謡曲にもなっている。
 男が好きな女の家へ通い、
 五色に彩った一尺ほどの木枝を束ねた
 「錦木」を、門前の地面に突き立てる。
 女がとりこめば、受諾。
 そのままであれば、受け入れず。
 男は、1000束までは、
 通うことができるとされていたとか。

謡曲「錦木」
http://www.tessen.org/dictionary/explain/nishikigi
《【錦木塚物語】》
http://www.pref.akita.jp/kadukenm/densetu/densetu_3.htm




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