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十二代・市川團十郎さん辞世の句は「色は空 空は色との 時なき世へ」。

市川團十郎さんの本葬が、2013年2月27日、
青山葬儀所で営まれ、多くの方が参列されました。

会葬者に配られたものの中には、
團十郎さんがパソコンに残していた
辞世の句がありました。

どんな句だったのでしょうか?「色は空 空は色との 時なき世へ」

「般若心経」の
「色即是空(しきそくぜくう)、空即是色(くうそくぜしき)」ですね。

この世にあるすべてのもの(色)は、
因と縁によって存在しているだけで、
固有の本質をもっていない(空)。
宇宙の万物の真の姿は、空であって実体ではないと。

仏教、釈迦の中枢となる教えですね。

《海老蔵、團十郎さんと最期の別れ 涙で最愛の父であり師匠に感謝》
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20130227-00000315-orica

海老蔵丈の喪主あいさつ

《とても寂しいです。父の子として生まれ、本当に幸せでした。
父は若くして父を失い、母を失い、白血病という大病を2度も患い、
そして息子が私という苦労の絶えない人生でした。
とてもつらい苦しいことがあるにも関わらず、
いつも優しく大きくドンとした父でした。

初めて父とお酒を飲んだ時、11代目と飲んだことがなかったため
『孝俊(海老蔵の本名)うれしいよ、幸せだよ』と言ってくれたことが
とても思い出に残っています。生前言ってたことはいつも『ありがとう』でした。
人工呼吸を付ける時、意識がなくなる前に話したいと言い、
テレビ電話での会話になった。母いわく、呼吸がつらく、
しゃべれるものではなかったようですが、画面の父の顔はとても優しく、
いつもと同じ笑顔でした。
父の笑顔はまぶたに焼き付いています。一生の幸せです。

先日、父の残した句が出てきました。『色は空 空は色との 時なき世へ』。
初めてそれを見た時、あぁ、自分の最期を悟っていたのかと。
気づかなかった。大変申し訳なく、情けない思い。
父は空を眺めるのが好きでした。もし、空を眺める時は、
少しでも父を思い出していただければ幸いです。

私にとって父であり、師匠であって、かけがえのない存在を亡くしましたが、
父からいただいたこの体、35年かけて伝えてくれた歌舞伎の精神、
これを一生かけてこの道で精進したい。最後になりますが、
父は感謝する心をとても大切にする方でした、
父に成り代わりまして言わせてください。
本日は本当にありがとうございました。》

海老蔵丈は、「空」を文字通りの空(そら)
と解釈しているようです。
そして
《父は空を眺めるのが好きでした。もし、空を眺める時は、
少しでも父を思い出していただければ幸いです》と。

團十郎さんは、望遠鏡で天体観測し、
宇宙、星を見るのが大好きだったようです。
その様子が、テレビ番組で紹介されたこともあります。
追悼番組でも、取り上げられていました。

その意味も込めていたのかもしれません。

「時なき世」は、平たく言えば、あの世、極楽(ごくらく)。

また涅槃(ねはん)。
煩悩の火が吹き消され、悩み、苦しみ、束縛などから
解き放たれた悟りの境地。

病や重圧から解き放たれ、円満・安楽の境地に
達したのでしょうね。

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nikitoki

2017年5月4日の海老蔵丈のブログで、《いい空、空を見ると父を思い出す、辞世の句。》と書かれたためか、この記事にアクセスが集中しています。
by nikitoki (2017-05-04 21:12) 

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