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「満足、完璧という言葉は、自分の辞書にはない」。オーディオ道を究める友人のお父さん。

先日、大学時代の友人と夕食を共にしました。

「家にこないか」と誘われました。

家は、友人ではなく、そのお父さんの家。
しかも、住んでいる所ではなく、
オーディオのためだけに作られた家なんですね。

お父さんは、中学時代、特別に選抜されて、軍で、理科教育を受けたんだそう。

半田付けからはじまり、回路設計、組み立て。
無線、電気の知識、技術を専門家と言って
差し支えないレベルまで身につけたのだとか。

お父さんは、戦後はエンジニアではなく、
全く別の文系の専門職についています。

けれど昔の知識をいかし、趣味としてアンプの自作、
そしてスピーカーの自作を行なっているのでした。

オーディオルームならぬ、
オーディオのための一軒家を建てたのが、
今から20年近く前。

アンプ、スピーカーをすべて自作し、
その家のリスニングルームでならしています。

先日、30年ぶりにそのメインスピーカーの
スピーカーユニットの一つを取り替え、
新しくしたので、聞きに来ないかと誘いを受けたのでした。

行きました。素晴しかった。
音に感動、感激したのは、もちろんですが、
一番感銘を受けたのが、お父さんの姿勢、考え方です。

現在、80歳を過ぎていらっしゃるのですが、
現状に決して満足せず、いつも改良改善を考えています。

オーディオはお金を出して楽しむお金持ちのもの。
そんなイメージがありますが、
友達のお父さんは、そうではありません。

基本的にアンプ、スピーカーはすべて自作。
自分で設計し、組み立て、使うのです。

いつもその時に最高、最善のものを作る。
そう考えて作っているのだとか。

「これぞ完璧」。

そう思えるものを作るのですが、
音を鳴らしてみると、欠点、あらが見えてくる。
それをどう良くしていくか。

「満足、完璧という言葉は、自分の辞書にはない」のだとか。

一生涯、打ち込めるものがあること。
そして、完璧と満足せず、常に新たなもの、
より良いモノを自分で作りだしていく姿勢。
なんと素晴しい人生かと感じました。

ただ夕飯を一緒に食べながら聞いた話は衝撃的でした。

「自分には中学生の時の同級生がほとんどいないんですよ」

意味がわかりませんでした。
年齢も年齢なので、多くの人が亡くなったのか。
そう考えましたが、違いました。

お父さんは、6人だけ選抜されて、別の場所にいた。
他の同級生は、勤労動員。

あるとき、B29が大量にやってきて、
勤労動員していた工場をすべて焼き尽くして、
同級生はみんな亡くなってしまったのですね。

生き残ったのは、特殊教育を受けた6人のみ。

亡くなってしまった同級生のために、
生き残った自分は、最後の最後まで生ききる。

そう考えて、オーディオにも励んでいらっしゃるのかな。
ふとそんなことを思ったのでした。




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