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30数年ぶりに返ってきた10万円。「貸したら忘れろ」と押しえてくれた祖母。

社会人になる前の大学生の頃、
祖母によく言い聞かせられたのが、
お金についてです。

貸し借り、使い方などお金は、その人の人生を
左右する非常に大切な事柄なので、
特に慎重にしなさいと。

「請け判はするな」「貸さずに与えろ」
「貸したら忘れ、借りたら一生覚えろ」
などなどをことある毎に聞かされました。

知人に数年前、現金書留が届いたそうです。
差出人は、男女の連名、名字は一緒です。

ばっと見てわからなかったのですが、
しばらく眺めるうちに思い出したそう。

男性の方は、大学時代に知り合い、
その後、しばらくつきあっていた友人でした。

ある出来事があり、その後は全く疎遠となり、
30年あまりも連絡もとっていませんでした。

封筒の中に10万円が。

そしてようやく30数年前の夜のことを
思い出したのです。

差し出し人の男性は、ある小さな会社を
経営していたのですが、取引先の倒産、
取り込み詐欺などにあい、
経営が大変厳しい状況に。

そんな中のある晩に、知り合いの
アパートを訪ねてきたのです。

彼は、「もうどうにもならないので、東京を去る。
これから関西方面に行くつもりだ。荷物をまとめ、
車で来ていて、アパート近くの駐車場にとめている。
この後、すぐにでもたつ。だが手持ちの現金が
ほとんどないので、ガソリン代、食事代など、
1万円でいいので、貸してくれないか」
と借金の申し込みに来たのでした。

知り合いは、給料日のすぐ後で、明日にも服や
電化製品を買うつもりで、手元に10万円余りの
現金を持っていたんだそう。

知人はためらいなく、その中から10万円を渡し、
「落ち着いたら連絡して」と送り出したのでいた。

その後、彼からは全く連絡なし。

その後、共通の知人から、
借金主は関西で生活し、落ち着いて結婚も
したらしいと聞かされたと言います。

さらに時はたち、共通の知人とも疎遠となり、
10万円を貸した相手のことも、
すっかり忘れて暮らしていたのです。

現金封筒の中には、手書きの便せんも入っていました。

女性が書いたもので、父の頼みで
この手紙を書き、現金書留を送っている。

父からは、自分が生まれる前のことを聞いたそう。

すなわち、30数年前にお金を借りた。
そのお金で関西に移り、その後、勤めたり、
また新たに会社を興すなどしながらも、
ようやく生活できるようになった。
そして結婚もし、子どももできた。

しかし病気にかかり、先も長そうにない。
なので人生で世話になった人に、せめてお礼を
いい、借りたお金は返してから、あの世に行きたい。

恩返しと借金返済をせねばならない人が
何人かいるが、その一人が、知人だと。

全く忘れていた10万円。

自分だったら、祖母の教えにもかかわらず、
決して忘れはせず、返ってこない、裏切られた、
これからは絶対、貸さないなんて思っていた
ことでしょう。

だが知人は違っていた。

翌日、知人は便せんに記された電話番号に。
出てきたのは、女性。
まさに送り主の女性でした。

その電話で色々と話しをしたそう。
奥さんはすでに先に亡くなり、
その男性も現金書留を出す前に、
亡くなっていたこと。

本来なら利子もつけてお返しする
つもりだったが、まずは元本だけでも
ということで10万円にしたこと。

「あの10万円は地獄に仏。あれで助かった」
と病床でずっと話していたことなどを
知人に話してくれたとのことです。

知人は利子はいらない、若い時のつきあい、
例えば、食事をたびたびおごってくれたこと、
体型が似ていたので、ジャケットを貸してもらった
ことなどを、娘さんに教えてあげたそう。

娘さんと話すうちに、その男性との日々が
よみがえってきて、とても心が温かくなったとのこと。

思わぬ形で返ってきた10万円。

知人はその10万円を自分の手元に置いて、
使ってしまうのではなく、また誰かの役に
立ってもらいたいと、強く感じたそう。

そして今度は月々いくらかずつ、
アフリカの子どもに出すことに決め実行。

子どもからは、手紙と絵が届き、
感激したと言います。

この知人こそ、素晴らしいお金の
使い方を実践している人かもしれませんね。

祖母は、孫こそ、そういう人に
なってもらいたかったんだろうなー。





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